こんばんわ。電気チューンズです。
今回はまたオススメのホラー映画をご紹介しましょう。
ホラー映画と言ってもちっとも怖くない。そしてメチャクチャ面白い。そんな映画です。
サム・ライミ監督
あのアメイジングでもアベンジャーズのでもないスパイダーマンの3部作を撮った監督のもう一方の代表作です。スパイダーマンの映画はどれも面白いですが、やっぱりサム・ライミのスパイダーマンが一番好きですね。特にスパイダーマン2が最高!アメコミ映画で一番好きかも。トビー・マグワイアがいいですよね〜。
さて、話がそれましたが、死霊のはらわたです。こちらも2です。なんで2をオススメかというと、勿論1作目も面白いんですが、この2を観てしまうと1作目はとても物足りなくなってしまうのです。それは1作目に比べて2作目のほうが予算や規模がUPしたからというだけではなく、単純に演出と役者とカメラのテンションが異常なほどパワーアップしているからなのです。
とは言え、1作目から順を追って説明していきますと、まずこの長編映画の更に前に「ウィズイン・ザ・ウッズ」と言う短編映画があり、これをふくらました映画が「死霊のはらわた」になります。(しかしこの頃のホラー映画はこんなタイトルばかり…)
もともとはコメディ映画が好きだったサム・ライミは自主制作で友人のブルース・キャンベルと何本か低予算映画を作っていましたが、コメディ映画でヒットする映画を作るには有名な俳優がいないと無理だとわかっていたので、無名映画でもヒットさせる事ができるホラー映画に目をつけました。そして、まず短編の「ウィズイン・ザ・ウッズ」を撮って、これを名刺代わりに長編映画「死霊のはらわた」を制作する訳です。
ライミはドライブインシアターでホラー映画を観まくって、どうやったら客が怖がるか、どうやったらウケるかを研究し、「ウィズイン・ザ・ウッズ」を観せて興味を持った人から資金を集め、キャストやスタッフも友人に頼んで「死霊のはらわた」を完成させます。主演はもちろんブルース・キャンベル。ブルース・キャンベルとサム・ライミはこの後も仲が良く、スパイダーマン3部作にも全部チョイ役(それも全部腹立つ役で)で出演しています。ちなみに編集に当時まだ無名のジョエル・コーエン(「ノー・カントリー」や「バートン・フィンク」)がお手伝いしています。
低予算(35万ドル!!)ながらも凝ったカメラワークと手作りながらも味のあるメイクや特殊撮影によりカルト映画としてそこそこヒット(制作費の10倍くらい)します。
ちなみにこの映画の最大の売りと言っていいカメラワークですが、死霊目線になったカメラが森や小屋を疾走するシーンは、低予算のためステディカム(※)を使えないので、ライミが考案したシェイキーカムという手法で撮られています。これは中央にカメラを取りつけた木材を二人の人間が両方で持ちながら全速力で走るといったインディー精神あふれる撮影方法です。
※ ステディカムとはスタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」などで有名な、レールやクレーン無しでも移動をしながらほとんど手ブレをしない超いいカメラのこと。
その他にも撮影が長引いてキャストが帰ってしまって仕方なく監督自ら出演(手だけ)してアッシュを襲ったりしてました。低予算映画は大変なんです。
そんな訳で「死霊のはらわたⅡ」を制作する訳です。1作目より予算は増えましたが(前作の10倍くらい)普通の映画に比べればまだまだ低予算です。
基本的に「死霊のはらわたⅡ」は1作目のほとんどリメイクです。1作目の続編という訳ではありません。「ウィズイン・ザ・ウッズ」のリメイクが「死霊のはらわた」でそのリメイクが「死霊のはらわたⅡ」な訳でどれだけライミがこの映画で勝負しようとしていたか伺えます。
主役は引き続きブルース・キャンベル演じるアッシュ・ウィリアムズですが、性格も結構違います。なのでこの2作目から観ても全然OKです。
あらすじ
恋人とドライブ中に見つけた山小屋で、死者の書とテープレコーダーを見つけるアッシュ(ブルース・キャンベル)は興味本位でテープを再生してしまい、テープから流れた死霊を呼び醒ます呪文により森の死霊を復活させてしまう。死霊に恋人を殺されアッシュと死霊との超絶バトルが始まるのであった。
まあ、あらすじと言ったらこんなくらい単純なのですが、もうストーリーなんかどうでもよくて、物語のきっかけとなる設定とキャラクターさえあれば後はアイデアで面白くするというところがこの映画のスタンスです。
ところで、この死者の書というのが、ネクロノミコンと言って、H・P・ラブクラフトと言う怪奇小説作家の作品に出てくる架空の書物で、ラブクラフトが創造したクトゥルフ神話での重要な書物です。クトゥルフ神話の話になると長くなるのでここでは割愛します。興味がある人はググってみてください。
「死霊のはらわたⅡ」の凄いところは、まずカメラワークです。1カットとして普通のカットがないんじゃあないかと思われるくらい凝ったカメラアングルやカメラワークばかりで、すべてのシーンがコミックのように誇張されています。1作目と違いシェイキーカムでは無いのでしょうが、森や小屋を疾走するカメラは更にスピードと迫力とコーナーリングを身に着け、観る者をひきつけて離さないでしょう。
更に、役者ブルース・キャンベルの演技が前作とは雲泥の差で、常にハイテンションを保ち狂ってるけど狂ってない凄い演技をしています。ブルース・キャンベルの凄さはというと、前半はブルース・キャンベルと死霊の戦いが結構続くのですが、死霊は低予算のためにあまり実態は出てこないので基本ブルースの一人芝居で映画は進みます。死霊により呪われてしまった自分の右手と延々戦うという前代未聞のシーンがあるのですが、要は全部一人でやっている訳でその演技力とやる気に誰しもが脱帽せざるを得ないでしょう。普通思いついてもやりませんしやれません。
演出も過剰になっており、顔に血がかかるシーンでも、通常なら血糊がビシャっとかかるようなところをバケツ10杯分の血がブッかけられます。通常だとホラー映画の恐怖演出なのですが、それがあまりにも過剰なため笑える域にまで達してしまい結果コメディになってしまう訳です。そしてそれこそがライミの狙いだと言えるでしょう。
ストーリー展開も余計な説明はほぼなく、序盤主人公のアッシュと恋人が山小屋を訪れ「死者の書」とテープレコーダーを見つけ死霊が蘇り恋人が死にアッシュが死霊に乗っ取られてしまうまでわずか5分くらいです。スピーディにもほどがありますが、その後の展開を考えると前作でやった序盤の展開は「もう大体わかるだろ?」とばかりに省略されて、アッシュと死霊の戦いにたっぷりと尺を使う訳です。
要は全て過剰な訳です。演出も演技もカメラも恐怖もグロも全て過剰にした結果生まれたのが笑いだったという発明がなされた訳です。これ以降ホラーでコメディな映画はいっぱい作られましたがこれ以前はホラー映画で笑わしに来ているものはそんなになかったんじゃないかと思います。ホラーがショボくて笑えちゃうのはこれとは別です。
なんせ最後は、アッシュが切り落とした自分の右手にチェーンソーを装備し、左手には銃身を切ったショットガン(ソードオフ・ショットガン)を構えて「Groovy(イカすぜ)」
とか言っちゃって、なんかもうヒーロー誕生した挙げ句、中世までタイムスリップさせられて終わりというとんでもないラストにたどり着くわけで、勢いでネタバレしましたがこの映画に関してネタバレなんか関係ないので問題ないですし、これを超えるエンディングはなかなか無いんじゃないかと思われます。
そんな凄い面白い映画なので当然続編(死霊のはらわたⅢ/キャプテン・スーパーマーケット)も作られ、最近ではTVシリーズ(死霊のはらわたリターンズ)にもなって未だに人気を博しています。恐ろしいことに続けば続くほど過剰になっていきます。ただしTVシリーズではシーズン3くらいになると流石に行き過ぎて笑えなくなるというところまで来ています。TVシリーズは映画から30年後の設定でリアルにオッサンになったアッシュが相変わらず大暴れします。
さらにリメイクもされています。こちらはガチホラーだった気がします。あんまり覚えてませんがグロが結構きつかった気がしました。
という訳で文字通り頭をカラッポにして、酒でも飲みながら観るのがオススメな最高な映画です。友達でワイワイ観るのもいいですけど今はコロナだからねえ。
↑アッシュ書いてみた う、うますぎる… 「Groovy!!」
でわでわ。
何度観ても面白い。
2の後観るとアッシュが弱々しくてがっかりする。でも名作。
邦題は酷いもんです。
こちらはリメイク。ガチホラーです。