はろーん電気チューンズです。
すっかりブログを休んでしまいましたねw
まあ忙しかった以上にネタがなかったんですけど、やはりこの話題作は外さずに観てきましたよ!
トッド・フィリップス監督。
ホアキン・フェニックス主演。
JOKER
ジョーカーと言えば今更説明の必要も無いと思いますが、アメコミのヒーローバットマンのヴィラン(悪役)ですね。ピエロの様なメイクで世の中を混乱に陥れることを目的にバットマン相手に大活躍する残虐な究極の愉快犯です。
ジョーカーは今までもバットマンのヴィランとして何度も映画にも出ていますが、今回は初の主役!!やったぜジョーカー。それも今回はジョーカーの誕生譚。いかにしてジョーカーは生まれたのか!?といったところですか。
まず、映画本題に入る前に今までの代表的な映画でのジョーカーをご紹介しますと、
まずは1989年公開ティム・バートン監督「バットマン」のジョーカー。これがいきなりのハマり役でジャック・ニコルソンが演じています。
バットマンの宿敵ジョーカーをコミカルかつ狂気を孕んだ残虐な奴として演じており、彼以上のジョーカーはいないだろうとも言われておりました。
そして、そこからバットマンの映画シリーズは続きますが、ティムバートンが離れてからは(2作目以降)はどんどんショボくなっていき一旦シリーズは終わりになります。しかしリブート大好きハリウッドは改めてバットマンをもっとリアル路線で再構築して「実際にバットマンがいたら?」的に作りなおします。
それがクリストファーノーラン監督の「バットマン ビギンズ」
まあこれにはジョーカーは出てきませんが、このリブートシリーズの2作目2008年公開「ダークナイト」に満を持して登場!ヒース・レジャーがジョーカーを演じています。ニコルソンのジョーカーを果たして超えられるのかと言われていましたが、このリアル路線のバットマンの世界観に合った最高にカッコいいジョーカーを登場させました。
このジョーカーは殆どコミカルな部分は無く、前作がバットマンによってジョーカーは誕生したことになっていた事に対して、いつ何処から何故生まれたのか完全に謎の存在で、正に混沌の申し子としてバットマンの前に立ち塞がります。演じたヒース・レジャーがその後すぐに亡くなった事もあってこのジョーカーはニコルソンのジョーカー以上に神格化されました。
その後は、2016年の「スーサイド・スクワット」でジャレッド・レトがジョーカーを演じますが、素晴らしい演技と役作りだったにも関わらず出番が全然無く、映画の出来もアレだったもので大して話題になりませんでした。カワイソスwww
そんな大人気かつ演じるハードルが最高に高いヴィランであるジョーカーの主役の映画がこの「JOKER」な訳です。今回はホアキン・フェニックスが演じております。
ホアキンは故リバー・フェニックスの弟です。リバーフェニックスは名作「スタンド バイ ミー」で有名でしたが、人気絶頂時に突然薬物過剰摂取で死亡。当時はなかなか衝撃的でした。
カッコ良かったのになー
しかしそんな死後神格化された兄を持ち、これまた死後神格化されたヒース・レジャーの演じたジョーカーを演じるというホアキン。リドリー・スコット監督の「グラディエーター」の宿敵役で知られていましたが、満を持してジョーカーを演じるというので否が応でも期待値は上がるというものです。
実際彼の演技は素晴らしく、脳に障害があって笑いが止まらなくなってしまう病気の演技なんか、ひくほど凄いです。
私として走り方が凄い良くて、いかにも小悪党がスタコラサッサと走っているというのが出ていて良かったです。
監督はトッド・フィリップス。「ハングオーバー」シリーズでブレイクした監督ですが、コメディ映画のハングオーバーの監督がジョーカーを監督!?と最初は驚きましたが、ハングオーバーもシリーズを重ねるごとに段々笑えなくなっていき、ちょっと人として完全に一線を超えてしまっているところが出始めるあたり、今回の「JOKER」に通じるところがあるのかもしれません。
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この映画なんといっても撮影が素晴らしい。どのシーンどのカットを取ってみても全てに緊張感がありカッコよくとても美しいものばかりで映像だけでもかなり酔いしれる事ができます。
不穏なチェロ(かな?)のBGMもいいですし、アメコミ映画とは思えないとてもクオリティが高い正に「映画」と言える素晴らしい撮影です。
そもそもこの映画、監督としてはアメコミ映画を撮る気は最初からサラサラなく、マーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」の様な人物描写を重視したアメリカン・ニューシネマの様な、最近作られていない映画を撮りたかったらしく、アメコミのヴィランのジョーカーを題材にしたのは、映画会社を説得するためにガワだけ借りてきた感じらしいです。ちなみにタクシードライバーのオマージュと思われるシーンも出てきます。タクシードライバーは名作なので是非観ていない人は観てください。
ちなみにタクシードライバー主演のロバートデニーロは「JOKER」にも出演しています。
ここから私の映画の感想ですが、ネタバレがあるかもしれないのでまだ観ていない人、ネタバレが嫌な人は読むのをやめて、台風にでも備えて備蓄でもしていてください。
さて、この映画「JOKER」ですが、一言でスゲー面白かった〜と、なるほど単純な映画でもなく、とても複雑な気持ちにさせられる映画ですね。観ている間はいろいろな感情が湧き上がって終始振り回されるような感じです。まさに一筋縄ではいきません。
最初は単純に、精神病で社会的にも貧しく底辺を生きる主人公アーサー(ホアキン・フェニックス)がどんどん不幸になっていき、遂には悪の化身ジョーカーになっていく映画なのかなあ、と思って観ていました。つまり、映画「無敵の人が出来るまで」とでも言いましょうか。
無敵の人とは、要は失うものが何もない人。社会的や他人にほぼ接点がなく、仕事も家族も信用など背負うものも一切ない人のこと。失うものがないので犯罪や殺人を犯しても元々何もないため逮捕されてもまるでノーダメージな人のこと。(2ちゃんねるの創設者ひろゆきが命名)
先日の京アニ放火事件を起こした青葉や、秋葉原で無差別殺人事件を起こした加藤など、思い出すだけでも胸糞の悪い奴らがいますが、そいつらがどうやってそうなって事件をおこしたかってことを描いた様な映画だとしたら、そんなもん観たくねーっと私は思いましたね。クソ野郎が自分の犯した罪を正当化する映画なんて気分悪いわ!
せっかく先日「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で映画の中ででも復讐を果たしたばかりだというのに、そりゃねーぜ!
と、思ってみていたのですが、観ているうちにどうやら違うような気がしてくるんですね。
まず映画の中で2箇所あきらかに彼の妄想だというところがあるのですが、その2箇所目については、私もおかしいなと思いつつも観ていたら、実は妄想だったと気付かされるように描かれています。この辺以降から観客はすっかりアーサーのことが信用できなくなり、(所謂「信用できない語り手」)どこまでが彼の妄想(虚言)か現実かわからなくなってくるんです。
そこでこの映画が「ジョーカー」だったことに思い出し、そもそもこの物語自体彼の妄想で、彼の虚言に突き合わされているのではないかと。なんせジョーカーのお話なのですから。
映画はアーサーのあこがれのコメディアンでTVショーの人気司会者マレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)の番組に出るところからどんどん悪夢のようになっていき、燃えるゴッサムの中で悪のカリスマとして讃えられながらジョーカーが誕生するところで終わりますが、このジョーカーがどうも我々が知っている、過去に観てきたどのジョーカーとも違うように思えるんですよね。このジョーカーがこの後バットマンの宿敵となっていくように思えないというか、つながらないというか、このジョーカーじゃあバットマンに勝てないでしょって気がするんですよね。
そこで思い出すのが「ダークナイト」のジョーカーが、彼の口がなぜあんなに裂けているかを語るシーンがあります。でも話すたびに毎回言ってることが全く違うので結局彼の過去も正体も謎のまま。
つまり、この映画の全てが、ラストの精神病院でアーサー(ジョーカー)がカウンセラーに話した彼の作り話なのかもしれませんね。つまりこの映画自体が彼の質の悪いジョーク?ええー2時間もこいつのジョークにつき合わされてたってこと?
それじゃあやっぱり夢オチ、妄想オチなんじゃあないか。
なんでまた、妄想オチなんて創作上最低の部類になるラストを採用したのか?
普通にこの映画を観ると、アーサーの悲惨な日常(精神病に苦しみ、コメディアンに憧れるもののまるで才能もなく、全ての人に騙される)が余すことなく描かれているので、彼が犯す殺人も「うん!仕方ない!」と、ちゃんと納得いく様に感じます。「それなら殺しても仕方ない!」と。
そして、アーサーをきっかけに不満と怒りが溜まった民衆の暴動が起こり、まるでなるべくしてなったように、ジョーカーが誕生するところを描いてしまった。混沌の化身の誕生がが民衆にカリスマヒーローのように歓迎されてしまったラストに、
監督は「(これはちょっとやりすぎたな…)ウッソーんwwwwww」
と、誤魔化すためにラストに精神病院のシーンを入れたのかもしれませんねw
例えばこの精神病院のシーンが無くて、ラストがジョーカーが誕生したところで終わったとすると、当然観客にはこの映画が妄想だったと考える余地がないので、この映画に影響されたバカが、また事件でも起こすのではないかと心配したのかもしれません。
「この映画ヤベー!」「最高!ジョーカーカッコいい!」「人生観変わりました!」とかTwitterでバズらないようにねw
でもバカは「ジョーカー最高!!でも最後よくわからなかった!」ってとこなのかもしれませんけど。
ジョーカーの誕生を熱狂と歓声で迎える民衆。人間の真の姿とはこんなもんだ。世界はクソで人は誰かがぶっ壊してくれるのを待っているとハッキリ描いてしまったため、ジョークにせざるを得なかった…。
今この映画をそのまま上映するのは世の中の状況があまりにこの映画に似通い過ぎてシャレにならないと。
簡単に言うと、もの凄いマジなトーンと、美しく芸術的なまでのクオリティで無敵の人の誕生を描いてしまったので、シャレにならないのであわててジョークにして観客を騙したことにした。
そんな映画かもしれないですね。
そこがこの監督のちょっとだけ残った良心なのかもしれませんね。
でも、それって人を信頼していないってことですよね。
でわでわ。
本作はタクシードライバーの影響大です。必見!
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最早バットマンよりジョーカーが主役の様な映画です。
改めて観るとニコルソンジョーカーが一番怖いかも…