デューン/砂の惑星について
(淀川長治さん風で)
はいこんにちわ。
今日ご紹介する映画は、砂の惑星ですね。砂の惑星。デューンですね。なんでしょうねデューン。怖いねデューン。デューンというのは砂丘って意味なんですね。日本で言うと鳥取砂丘が
さて、調子を元に戻して電気チューンズ改め電気デューンです。
今回は今ようやく公開されている
にまつわるお話をいたします。
ようやくと言うのは本当は去年公開予定だったんですが、例によってコロナがコロナってしまって延期していたんですね。最近ようやく大作映画も公開されるようになって嬉しい限りです。
今作は「ブレードランナー2049」や「メッセージ」を監督したドゥニ・ヴィルヌーヴが監督しておりますが、その前にこの映画、何回か映画化されたりされなかったりしておりまして、その辺のお話をしようかなと思います。なので今やってるデューンについての感想は書いてないです。念のため。
そもそもこの原作はフランク・ハーバートという作家の60年代書かれたSF小説のベストセラーです。壮大なストーリーとヴィジョンなために映像化不可能と言われていました。(昔はよくこの映像化不可能!!という謳い文句がはやってましたなあ)私は未読ですがSF小説としては超有名作です。
これの映像化、映画化に挑もうとしたのが、アレハンドロ・ホドロフスキー。「エル・トポ」や「ホーリー・マウンテン」でカルト映画の元祖と言われる映画を監督したホドロフスキーです。映画監督というより芸術家と言った方がしっくりきそうな人です。今でこそカルト映画なんてよく言われますが、カルト映画と最初に言われた映画がこの「エル・トポ」だと言われています。
ニューヨークのミッドナイト上映などで当時のトンガッた人達の間で話題になり、ジョン・レノンが絶賛したそうです。そんなホドロフスキーが「ホーリー・マウンテン」の次に撮るぞと決めたのが、この「デューン」な訳です。
ホドロフスキーはこの壮大な小説「デューン」を誇大妄想のように取り憑かれ、しかし映画化すべく次々と今見ると凄いスタッフ・キャストを集めていきます。
↑このおじさんがホドロフスキー。
詳しくはドキュメンタリー映画「ホドロフスキーのDUNE」を観るととても良くわかるのですが、ホドロフスキーが集めたスタッフが、
・ジョン・カーペンター監督の「ダーク・スター」で特撮を手掛け、後に「エイリアン」の脚本を書くダン・オバノン
・大友克洋など日本の漫画家にも多大な影響を与えたフランスのバンド・デシネの漫画家メビウス(またの名をジャン・ジロー。こっちが本名)
※ちなみにメビウスで検索してWikipedia開くとジャン・ジローって出て「どこの次郎やねん」てなります。SFを書くときのペンネームがメビウスみたいです。
・エイリアンのデザインで超有名になるスイス出身のH・R・ギーガー
・昔のSF小説の扉絵なんかでカッコいい宇宙船を描いていたクリス・フォス
・言うまでもなく超有名なプログレ・バンドのピンク・フロイドが音楽。後フランスのプログレ・バンドのマグマ。
と言う凄い面子を世界中から集める訳です。
更にキャストも、
ミック・ジャガーにオーソン・ウェルズにデビッド・キャラダインになんとサルバドール・ダリ(!)
だって言うんだから想像するだけでワクワクしてきます。
このドキュメンタリーでは、ホドロフスキーが彼らスタッフ・キャストを「魂の戦士」と呼んで次々集めていく過程が黒澤明監督の「七人の侍」みたいでとても面白いです。
とくにメビウスの描いた絵コンテやデザインがクッソ素晴らしく、このイメージによってホドロフスキーの妄想がさらにブーストしたのではないかと思っています。
↑右端のヤツ超カッコいい!
クリス・フォスのデザインもめっちゃカッコいい。
更にギーガーの才能を発掘した功績はデカすぎます。
しかしながら膨れ上がった構想とヴィジョンは映画化されることなく(制作費は膨大になる上に上映時間12時間だっていうんだもんw)撮影に入る前にこの企画は幻として消えていきます。1975年の頃でした。
しかし本当にこの映画が影響を与えたものは大きく、ハリウッドの大手の会社には一冊このホドロフスキーのデューンの絵コンテがあるらしく、その後、スター・ウォーズやエイリアンなどのSF映画に多大な影響を与えています。
特にエイリアンには直接ダン・オバノン(脚本)やギーガー(エイリアンデザイン)、メビウス(宇宙服デザイン)、クリス・フォス(宇宙船デザイン)もスタッフに加わっておりエイリアンはこのホドロフスキー版デューンから生まれたと言っても過言でわないです。リドリー・スコット丸儲けw
リドリー・スコットで思い出しましたが、このホドロフスキー版デューンがお蔵入りになって、暇になってしまったダン・オバノンが脚本を書いてメビウスが漫画にした「ロング・トゥモロー」がブレードランナーの原案になったとのこと。勿論フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」が原作ですが、「混沌とした未来社会でのフィリップ・マーロウ的な探偵の物語」のイメージはロング・トゥモローから来ているようです。
もう一個おまけに、映画に挫折したホドロフスキーはメビウスと「アンカル」という漫画を作り映画で果たせなかったことを漫画で実現しています。
これ日本では絶版なんですよねえ。売ってるときに買っとけばよかった。でも電子書籍にはあったかも。
ちなみにこのドキュメンタリー映画「ホドロフスキーのDUNE」はアマゾンプライムビデオでも観れますので是非観てみてください。ワクワクする上に元気が出ます。
予告編
さてこの映画の企画は頓挫してしまいますが、1984年にラファエラ・デ・ラウレンティスというプロデューサーの手で遂に映画化されます。(一時リドリー・スコットの監督で企画が動いていた時期もあったみたいですが)監督はあのデビッド・リンチ!!
しかーし映画化されたはされたものの、この映画はSFファンにも原作ファンにの原作者本人のハーバートにも不評で興行的にもコケてしまいました。
勿論デビッド・リンチならではの悪趣味世界観は「おお」となるものの、壮大なスペースオペラなのに全体的に室内劇のうような狭っ苦しく、特撮もショボいのでちょっと残念な感じになっていました。もともと4時間くらいあったのを2時間にカットさせられたのでまあしょうがないのでしょう。いいところもあるんですけどね。
ちなみに、映画化の念願を果たせなかったホドロフスキーは、「天才のデビッド・リンチが撮るのなら悔しいが大傑作に違いない!そんなの観たくない!」とショックを受けていましたが、息子にヨロヨロと映画館に連れられションボリ(´・ω・`)観たところ、本作のできの悪さに観ているうち気付き「あれ?これつまんなくね?」と思い始めて、だんだん元気になってきて、最後には「やった!これ大失敗だ!」と内心ニコニコになって帰ったそうなw
関係ないですけど、スター・ウォーズのエピソード6「ジェダイの帰還」は最初ルーカスはデビッド・リンチに監督を任そうと思っていたみたいです。リンチに「あれは君の映画だ」と言われて断られたみたいですけど。スター・ウォーズをリンチが撮っていたらどんな映画になっていたのやら。こういった映画のif話は面白いですよね。ホドロフスキーのデューンも未完だからこそ我々の妄想を掻き立て凄い映画になったんじゃないかと思われますが、実際制作されたらリンチ版以上にひどかったかもしれないし、まあわからないですよね。
その後TVシリーズでもデューンは2000年作られていますが、あんまり話題になっていないですね。出来は普通らしいです。
まあそんな曰く付きなSF超大作「デューン/砂の惑星」ですが、この2021年にまたリメイクされたという訳です。ホドロフスキーは観たんですかねこれ?今回はどんな反応だったのか気になります。
さて、今回のデューンがどんな映画なのか、ホドロフスキーの構想を超える凄い映画なのか、リンチ版のような微妙な出来なのかは是非皆さん劇場で鑑賞してください。
あえて感想は書きませんが、タイトルに「DUNE PART ONE」って出た時に椅子から落ちそうになったことだけは言っておきます。
でわでわ。
アマプラでも観れますが、特典映像が多いのでディスクも欲しくなりますねえ。必見!
不評でも一部のファン人気はあります。別物だと思って観れば面白い…かな
デューンの原作。私は読んでいないですが、宮崎駿の風の谷のナウシカにも影響を与えているみたいですよ。
電子書籍にはありましたアンカル。この機会に読んでみようかな。